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■■■■今までのコラム■■■■

愛が、ヒト・モノ・コトをつなげていく。
〜森本千絵のはみだし仕事術〜

2012.05.14

 

 みなさん、こんにちは。はみだし泰造です。
 4月23日に行われた「はみだし塾」は、ゲストにアートディレクターの森本千絵さんをお迎えして行われました。
 森本さんは、広告の世界で仕事をする人としては、ここ何年かの中でもっとも注目を集めているクリエイターではないでしょうか。しかも、彼女を支持する人は、こどもから学生やおじさんやおばあちゃんまで、とにかく幅広い。それほど、森本さんの仕事が、従来の広告やデザインのワクから広く大きく、外の世界に「はみだして」いるのだと思います。
 森本さんの作品と言えば、車が巨大なノートに画を描いた「日産NOTE」をはじめ、サントリー「BOSSシルキーブラック」や震災後に流れたサントリーの企業CM「見上げてごらん夜の星を/上を向いて歩こう」、人間で楽しい色の世界を表現したDICなどの広告が、まず思い浮かびます。Mr.ChildrenのレコードジャケットやポスターやPVのアートディレクションでも、毎回注目を集めていますよね。映画「空気人形」の宣伝美術やNHKの連続テレビ小説「てっぱん」のオープニング映像、動物園や病院のデザインまで手がけていて、ほんとうに幅広い。
 ぼくは、そのどれもに共通する、「言葉にならないもの」を前々から感じていました。森本さんの講演を聞いて、それが何かがよくわかったような気がします。たぶん、愛ですよね、それって。言葉にすると、なんだか陳腐になってしまいますが、生命とか心とか夢とか人の縁とか、そんな類いのことが、彼女の仕事から感じられるのです。 
 ぼくらの仕事は、もちろんクライアントからオーダーがあってはじまるわけで、それに答えれば基本的にはいいはずですが、森本さんは、スタッフやクライアントをも巻き込んで本質に切り込んで行く。いや、そんなたいそうな意気込みじゃなくても、直感のおもむくままに、みんながハッピーになる、みんながひとつにつながれるところに向かってクリエイティブを進めいく。その結果、ただ仕事として表現されたものだけでなく、その奥に、ジワッと温かい愛のようなものが感じられる。そういうことじゃないかと思うんです。
 考えてみれば、広告だってデザインだって、人をハッピーにするためのものなんだから、彼女のやっていることって、当たり前のことのように思えるのだけれど、これまでぼくらの世界でそういう仕事をする人って、いなかった気がします。まったく新しいタイプの、時代が求めるクリエイターだと思います。それを象徴するのが、震災後に彼女がはじめたPray for Japanや、節電ポスター。彼女のすばやいアクションから生まれたデザインが、あの時、どんなに人を勇気づけ、具体的な行動につなげたか。いままでみんなが考えてきたデザインの能力や才能だけでは、ちょっと、できないことです。ぼくは、これまで以上に、すっかり森本さんのファンになってしまいました。そして、そうやって彼女は、どんどんいろんな縁をつなげて、仕事のフィールドを広げていっているんですね。
 いつになく、温かいハッピーな気持ちに包まれた「はみだし塾」になりました。森本千絵さん、お忙しいなか、ほんとうにありがとうございました。

 さて、次回のはみだし塾は、5月15日に、アレックス(株)代表の辻野晃一郎さんをお招きして行われます。はみだし塾で、企業の側の人が登場するのは、辻野さんが初めてです。
 みなさんご存知のように、辻野さんは、ソニー、グーグルを経て、アレックスを立ち上げられました。若い人は驚くかもしれませんが、かつてソニーは、いまのアップルに負けないくらい、みんなが持ち、毎日の暮らしに欠かせない憧れのブランドでした。そのソニーで、なにかができなかったから、辻野さんはソニーを「はみだして」しまったのでしょう。その理由は何だったのか。グーグルで学んだことは何だったか。これから、日本の企業やモノ作りの世界が目指すべき方向は、どんなところにあるのか。これまでのはみだし塾にはなかった「企業サイド」の方のお話を聞けるのが、いまからほんとうに楽しみです! みなさん、ふるってご参加ください。

はみだし泰造