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さて、この消費社会でぼくらはどう生きて行く?

2012.09.11

 

 みなさん、こんにちは。はみだし泰造です。
 8月21日に行われた10回目のはみだし塾は、ゲストに社会デザイン研究者・三浦展(みうらあつし)さんをお迎えしました。題して、「消費社会を、はみだす?」。
 三浦さおんは、若くして、あの伝説のマーケティング誌『アクロス』(当時、まさに消費社会をリードしたパルコから出版)の編集長になって以来、三菱総合研究所を経て、カルチャースタディーズ研究所をベースに、「消費」を通して社会の変化を見てきた人。社会学者でも、いわゆるマーケティングの研究者でもなく、経済や企業の動向、それが与える文化や広告やサブカルチャーへの影響を、一貫して消費という視点から30年近く分析してきたという、ある意味、とてもユニークな研究者だと思います。
 消費、つまり、人は何を欲しいと思い、何を手に入れたいと思うか。戦後、高度経済成長と言われた時代から、バブル期、バブル崩壊、失われた10年、そして、日本社会がまだ経験したことのない少子高齢化と呼ばれる時代に向かって、それは、どう変わってきたのか、変わっていくか。近著『第四の消費』をベースにした、三浦さんの講演を聞きながら、みなさん、これまでの自分の仕事や暮らしぶりを振り返って、うなずくこと、思い当たることがたくさんあったはず。そしていま、社会の行方が、自分がこれから向かいたいと思う方向が、混沌としているのはなぜなのか。それを考えるヒントをたくさんもらったのではないでしょうか。
 消費を考えることは、時代の気分とか社会のあり方を考えることでもあるけれど、日々の暮らし、そこにある自分の欲望を見つめることでもある。その両極があるような気がします。そこがおもしろい。そして、ちょっと、苦しい(なぜなら、最後は、自分の生き方を振り返り、自分のこれからを問うことになるから)。
 とりわけ、ぼくら、広告を生業としてきた人間には、三浦さんの鋭い分析と、未来への視座は、切実です。まさに、企業のマーケティング活動のなかにあって、人々の欲望を煽り、消費をつくり出す仕事をしてきたわけですから。そして、企業も、ぼくら自身も、ただ闇雲にモノを作って、売ればいい時代などではないことを、とっくに知っているから。三浦さんが言う「第四の消費社会」、それは、「所有したい」から「シェアしたい」に、「もっと欲しい」から「シンプルに暮らしたい」に、「世界的な流行」から「日本のもの作り」へ、「中央志向」から「地方志向」へと向かう社会です。つまり、これまで消費社会を動かしてきた(広告を作る根拠でもあった)ゆたかさの概念が、根底から変わっていく。そんな、近未来に向けた予言であり、たったいま起こっていることの分析でもありました。
 さて、これからの社会は、自分の仕事はどうなっていく?
 ぼくは、わたしは、どう変わって行ったらいい?
 そんな問いかけを残して終わった、ちょっと「深い」はみだし塾になりました。いずれにせよ、日頃感じている「モヤモヤ」を整理する時間になったのではないでしょうか?

 さて、次回(9月11日)のはみだし塾は、ゲストに、いま注目の若きクリエイティブ・ディレクター、川村真司さんをお迎えして、川村さんの活動の根底にある「考え方」を学びたいと思います。
 なんかね、これまで「クリエイティブ」と言われてきたことと、目線とか発想とかが、根本的に違う気がするんです、川村さんは。いや、よくよく聞けば、同じか、あるいは、いまぼくらが見失っている、モノ作りの根本にあるものを、しっかりつかんでいるのかもしれません。いずれにせよ、どことなく行き詰まり感がある広告の世界に、風穴を開けてくれる予感がします。「つくり方からつくろう」、なるほど、発想から変えて行く、そんな意味でしょうか? どんな話が聞けるか、ワクワクしますね。

はみだし泰造