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■■■■今までのコラム■■■■

ぼくらは、メディア大変革の途上にいる。
〜メディア・ジャーナリスト 佐々木紀彦の視点〜

2015.03.31

 

 こんにちは、塾長の今村直樹です。
 「メディアのいまとこれからを展望する」はみだし塾、そのラストは、佐々木紀彦さんの登場です。自らを"メディア・ジャーナリスト"と呼び、新しい時代のメディアとジャーナリズムのあり方を模索する佐々木さん。3月12日に行われた講演は、まさにこのシリーズの、ラストを飾るにふさわしいものになりました。

 メディアをめぐる地殻変動を、佐々木さんは「100年に一度の大変化」と言ってはばかりません。時代を象徴するような新しいメディアは、いつも革新的なテクノロジーとともに登場してきました。では、いまはどんなテクノロジーが現れ、人々に支持されようとしているのか。キーワードは、デジタル・ソーシャル・モバイル。その3つの要素をうまく取り込みつつあるメディアとは、言うまでもなくスマホであり、そこを軸に展開されるコンテンツ産業です。これまではみだし塾に登場したさまざまな論者が一様に主張してきたように、雑誌や編集・テレビ・ラジオなどは、ネットやスマホの機能と連動しながら、新たにコンテンツを供給する道を探っています。いま、佐々木さんが注目するのは、ネットフリックスやBazzfeed、あるいはVICEといった新興のコンテンツプロバイダー。課金とネイティブ広告を中心としたビジネスモデルが、新しいスマホ時代を切り拓くと見ているようです。

 なかでも、ぼくが注目したのは、「これからのジャーナリストには、個の力が要求されるだろう」という佐々木さんの発言でした。既存のメディア(新聞やテレビ)には、サラリーマン化したジャーナリストが増えてしまった。それは、開幕前夜のJリーグの状態に似ている、と言うのです。確かに、大新聞や地上波キー局のテレビから、ジャーナリストが体を張り、勘を働かせ、プロ意識をむき出しにして追求するニュースが影を潜めているように感じます。その一方で、ニコニコ動画やツイッターや個人サイトなどを拠点に、ニュースを追いかけるフリーランスジャーナリストが存在感を強めつつあります。

 デジタル・ソーシャル・モバイル、3つの変化が同時に起きる中で、これからは、動画コンテンツが台風の目になるのではないか。佐々木さんばかりでなく、最近、多くの人がそう言っています。そこで、よく佐々木さんともいっしょに仕事をされているという東北新社のプロデューサー/ディレクターの古田清悟さんが登壇。実際にウェブやスマホ用に古田さんがディレクションされている動画コンテンツを見せていただきながら、その制作現場やニーズがどうなっているのか、お話いただきました。

 ある意味、それは「従来の境界を失った世界」だと感じました。広告のようで、番組のようでもある。ジャーナリズムのようで、エンターテイメントでもある。ネットやSNSで展開されるのだから、当然、国境もない。古田さん自身、CMディレクター・広告マン・コンテンツプロデューサー、どこにも属さないし、いずれであることにもこだわってもいないでしょう。佐々木さんが言うように、「新しいテクノロジーが、新しいメディアを生む」なら、新しいメディアは、新しいスキルと感性を持ったクリエイターを必要としているのかもしれない。とするなら、個の強さと、あらゆるメディア、あらゆる国に通用する専門性(得意なジャンル)を持たなければならないだろう。そう、世界に出て行ったJリーガーたちのように。そんなことを思わせる古田さんの仕事ぶりと発言でした。

100年に一度の大変化。
こんな時代に立ち合えたことは、ちょっと怖い気もするけれど、なんともワクワクするではありませんか!

はみだし泰造