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■■■■今までのコラム■■■■

はみだし塾は、
藤原次彦さんのメッセージでもある。

2015.05.25

 

はみだし塾は5年目、次回で25回を数えます。
しかし、いま、ひとつの節目を迎えたとも感じています。

私たちは、藤原次彦というリーダーを失いました。

思えば、彼が2010年4月に新社長に就任した直後の6月頃、久しぶりで再会を果たしたぼくは、藤原さんと中江康人さんを前に、熱っぽく語っていました。
ぼくらは変わらなければならない、と。もう、仕事を川下で待っているだけではダメなんだ。メディアも社会も、構造から大きく変わろうとしているいま、若いプロデューサーが率先して仕事をつくり出して行かなければ未来はない。世の中を見渡せば、広告やデザインの世界が、メディアが、変わろうとしているではないか。多くのクリエイターやプロデューサーが、既存の枠組みをはみだしている。
まず、彼らから学ぼう。気づきが必要だ...。
青臭くて、多分に熱く、ぼくはそんなことを語りました。

ただでさえ、あらゆることにポジティブで、会社を、業界を、前のめりになって変えて行こうとしていた藤原さんに、そんな言葉が響かないわけがありません。何より彼は、人の「本気」を見抜き、とにかくそれに賭ける、やらせてみるタイプのスケールの大きなリーダーでした。

そして間もなく、その名前と構想が生まれ、2011年8月のキックオフを経て、はみだし塾はスタートしました。

不思議でなりません。
彼の無念すぎる死から数ヶ月が経とうとしているのに、ぼくにはまだ、その「喪失感」が感じられません。藤原さんと二人三脚で歩んできた中江康人さんが、しっかりその遺志を継承している安心感もあるでしょう。でも彼、藤原次彦さんは、すでに何かを「成し遂げた」のではなかったか? この先、10年や20年のビジョンを描き、多くのことをスタートさせていたのではないか。アオイプロの中で起こった変革や新たな事業計画をつぶさに知っているわけではないけれど、ぼくはそう感じています。ある意味で、ぼくらは彼を失ったのではなく、彼が描き、残したビジョンとともにいるのではないでしょうか。

そして、はみだし塾もまた、彼が未来に向けて撒いた、小さなひとつぶの種なのです。

時代はめぐり、人も入れ替わって行きます。そんななかで、はみだし塾は「すでにそこにあるもの」として、はじめにあった意味や意志が見えにくくなって当然です。しかし、藤原次彦という、希有なリーダーなくして、このはみだし塾が存在しなかったことを、これを機に記しておきたいと思いました。


さて、25回目という、節目のはみだし塾を予告させてください。
しばらくの間、「売る仕組みのイノベーション」をテーマにやってみようと思っています。ぼくらが、川下の「映像」や「コミュニケーション」に関わる制作の現場にいるとするなら、川上の、おおもとのモノづくりをする、ぼくらが「クライアント」と呼ぶ人たちや、モノの流通に関わる人たちが、いま何を考えているか。どんな変化を望んでいるか。ぼくらに何を期待しているか。あるいは、期待していないか。そんなことを学んでみたいと思います。

トップバッターは、パナソニックの、マーケティングとコミュニケーション戦略の最前線から、新宮俊夫さんをお迎えします。先日、打ち合わせさせていただいたのですが、いましたいました、クライアントにも「はみだしている」人が。これまで、ほとんどがクリエイターサイドだったはみだし塾の講師陣にあって、「川上」にいる人の生々しい声を聞くのは、とても新鮮。もしかしたら、川上も川下もなく、同じ船に乗る仲間かもしれない。ふと、そう感じました。

新宮さんの話は、CM制作の現場にいるプロデューサーや制作の人にこそ聞いて欲しい。いま変わらなければ、ぼくらに未来はない。藤原さんが、はみだし塾に、そして同業の若い仲間たちに残したメッセージが、そこにあるのだから。



今村直樹(CMディレクター/はみだし塾塾長)
2015.5.25


はみだし泰造